認知症の種類
認知症になる原因は数々の疾患があります。大まかなものをリストアップします。
●神経変性
アルツハイマー型認知症
レビー小体型認知症
前頭側頭型認知症
大脳皮質基底核変性症
し銀顆粒性認知症
進行性核上性麻痺
●脳血管性
脳梗塞
脳出血
くも膜下出血
Binswanger病
遺伝性脳小血管病(CADASIL等)
アミロイドアンギオパチー
●炎症性
細菌性脳炎
ウイルス性脳炎(日本脳炎、ヘルペス脳炎、エイズなど)
クロイツフェルト・ヤコブ病
●腫瘍性
●外傷性
脳挫傷
慢性硬膜下血腫
●正常圧水頭症
●内科的疾患
甲状腺機能低下症
肝性脳症
腎不全
呼吸不全
ビタミン欠乏症
アルコール中毒
認知症と診断された場合、その原因としては大まかなものだけでも上記のごとくたくさんあります。それぞれ治療方法が異なります。また、完全に治すことが可能な疾患もあります。
認知症外来をやっているとままあるのですが、画像検査や身体所見などきちんと検査をされず、十把一絡げにアルツハイマー病だろうとのことでその内服薬を漫然と処方されているケースに遭遇します。認知症と診断され内服薬を出された場合、基本的には数年、場合によっては10年以上継続して飲み続けることになります。認知症と診断することはさほど難しくはありませんが、その原因をしっかりと見極めたうえで治療戦略を練っていかないと、不必要な治療を10年以上患者に押し付けることにもなりかねず、憤りすら覚えることもあります。とはいえ、現在の医療技術では認知症の原因を100%きちんと診断する方法が無いのも事実です。正しい診断に導く各種の検査はありますが、あくまで確率を上げるのみです。確定診断には脳の組織を取って顕微鏡で見る必要があり、生きている人にそれをすることはありません。かといって、あてずっぽで診断して内服薬を開始するのは、やはりいかがなものかと思います。やはり、最低限長谷川式という検査に加え、MRI、可能であれば海馬の萎縮が数値化できるVSRADという検査は受けるべきかと思います。また、必要があれば採血をしたり髄液検査をして正確さを上げる努力も必要です。場合によってはSPECTという検査やPET(こちらはかなり高額となるためあまりお勧めは出来ませんが)というさらに高度な検査も利用する必要もあります。
このような検査ができる体制の施設で、知識のある医師のもとで正確な診断をされることを強く望みます。