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その他の頭痛(その他の一次性頭痛)

片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛以外の一次性頭痛として

が挙げられます。
一つずつ述べていきます。

咳嗽性頭痛

咳やいきみ等によって瞬時に出現する頭痛です。両側の後頭部に鋭く刺すような痛みが特徴的です。持続時間は短いことがほとんどです。片頭痛などとは違い40才以上の比較的高齢の方に認められることが多いです。極稀に脳腫瘍などが原因で同様の頭痛を来す場合がありますので、少なくとも一度はMRI検査を受けたほうが良いでしょう。

運動時頭痛

最近まで労作性頭痛という呼び方でしたが、ICDH-3より運動時頭痛という呼び名に変わっています。どのような運動の後にも起こり得るのですが、特に激しい運動を長時間続けた場合に起こりやすいです。咳嗽性頭痛同様、初発の場合はMRI検査で脳腫瘍などの異常が無いか検査することが必要です。

性行為に伴う頭痛

性行為中にのみ誘発されて起こる強い頭痛が過去に2回以上ある場合、このタイプの頭痛である可能性があります。そこまで珍しい頭痛というわけではなく、全頭痛の約1%程度を占めるとも言われています。一部の頭痛薬や片頭痛薬、抗てんかん薬、安定剤などを性行為の前に服用することで症状を緩和することが可能です。ただし、初発の場合はくも膜下出血や頭蓋内動脈の解離などを否定する必要があるため、CTやMRIの検査が必要となります。

雷鳴頭痛

突然雷に打たれたような強い頭痛が起こるものの、原因がはっきりしない場合この病名がつきます。急に強い頭痛が起こった場合、命に関わるような怖い頭痛(くも膜下出血、脳出血、動脈解離、下垂体卒中など)をすぐに除外する必要がありますので、CTやMRIにてこれらの疾患を除外した後でないとこの病名をつけることはできません。

最近可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)という一時的に脳血管の一部が収縮することで起こる頭痛の存在が明らかになってきました。この場合も雷鳴頭痛が引き起こされます。この疾患の厄介なところは頭痛が起こって間もない頃は血管の収縮がほとんど見られない場合があり、たとえ見られたとしても動脈硬化で細くなっているのと区別が付きにくいことなどから、診断が非常に難しいという点です。疑った場合は複数回のMRIなどで脳血管の状態を時間を追って調べる必要があります。こういった数々の疾患が除外された場合のみ、原因不明ということで雷鳴頭痛という診断となります。

寒冷刺激による頭痛

アイスクリームやかき氷を一気に食べたとき、「キーン」と頭が痛くなる経験は多くの方にあると思います。また急に冷たい風に当たると頭痛がするといったこともさほど珍しくはありません。頭部CTやMRIで異常がなく、刺激がなくなってから10分以内に頭痛が消失する場合、寒冷刺激による頭痛と診断出来るとされています。日常的に経験する頭痛であり、通常この症状だけでCTやMRIまで撮影するということは少ないと思いますが、片頭痛持ちの人に比較的多いとされていることもあり、他の頭痛もある場合はやはり一度医療機関に受診されたほうが良いかもしれません。普段特に困っておらず、刺激時のみの痛みであれば様子を見ても大丈夫かと思います。

頭蓋外からの圧力による頭痛

きついヘアバンドや帽子、水中ゴーグルなどを装着した後1時間以内に頭痛が出現した場合、この頭痛の可能性があります。圧迫を解除して1時間以内に痛みが消失すればほぼこのタイプの頭痛と考えて良いと思います。(診断基準ではこのような症状が過去2回以上経験しているなどいろいろありますが)また、同様に牽引による頭痛というものもあり、有名なのはポニーテール頭痛と呼ばれるものです。ポニーテールの髪型の場合狭い範囲で持続的に頭皮が引っ張られることになり、それが原因で頭痛が起こります。この場合も牽引を解除して痛みが消失すれば診断は難しくありません。

穿刺様頭痛

前額部や眼の周辺に針で刺されたような強い痛みが何度も続く場合、このタイプの頭痛の可能性があります。1回の持続時間は数秒程度です。群発頭痛と似ていますが涙や鼻水が出たり眼の充血などいわゆる自律神経症状が無いことが逆に特徴の一つです。アイスピック頭痛という呼び名もあります。片頭痛や群発頭痛の患者さんに比較的多くみられるとされています。片頭痛や群発頭痛と違いインドメタシンなどの一般的な解熱鎮痛剤が比較的有効です。

貨幣様頭痛

2~6cmほどの円形または楕円形の限局した領域のみ(境界がかなりはっきりしている)持続的に痛む場合、このタイプの頭痛の可能性があります。痛みを感じる神経である三叉神経の末梢の一部に何らかの炎症が起こり発症すると思われますが、詳しい原因は分かっていません。慢性的な痛みに加え急に強い痛みが出現することもあります。小さな腫瘍などが原因の場合もあり、一度はCTやMRIの検査をおすすめします。徐々に改善する場合もありますが、痛みがつらい場合は一般的な解熱鎮痛剤に加えて安定剤や抗てんかん薬などを使用する場合もあります。

睡眠時頭痛

夜間寝ている際、決まった時間帯になると頭痛が起こる場合、睡眠時頭痛の可能性があります。群発頭痛でも痛みで目が覚めるのですが、涙が出る、鼻水が出る、眼が充血するなどの自律神経症状は認めません。また、群発頭痛のように落ち着きの無さが目立つこともありません。むしろある一定の行動(読書、飲食、テレビ鑑賞など)で頭痛が軽減することも多く、群発頭痛との鑑別に有用です。比較的高齢の女性に多いとされています。カフェイン摂取が効果的とされており、コーヒーを飲用するのも対策として有用です。

睡眠時無呼吸症候群や睡眠時の高血圧などでも同様の頭痛が起こる場合があり、睡眠ポリグラフィー検査や血圧測定などでこれらの疾患を除外する必要があります。また、脳腫瘍などでも同様の症状を来す場合がありますので、CTやMRIなどの画像検査も必須と考えます。

新規発症持続性連日性頭痛

名前が長く難解な印象がありますが、診断はさほど難しくありません。今まで頭痛持ちでなかった人がある日突然頭痛を経験し、その後毎日頭痛が続くというのが特徴です。

ですが、通常このタイプの頭痛の場合クモ膜下出血や髄膜炎などの感染症など、何らかの原因によって引き起こされる二次性頭痛の可能性が極めて高く、慎重な精密検査を行いすべての二次性頭痛を否定する必要があります。場合によっては髄液検査なども行う必要があります。疫学的には若い女性に多いとされています。

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