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片頭痛

片頭痛は頭痛の一種で、特に強い痛みとともに吐き気や光に対する過敏さなどの症状が現れることが特徴です。遺伝的要素も強く、若い女性に多いことも特徴の一つです。

片頭痛の症状

片頭痛の症状は人により異なりますが、一般的には以下のような特徴があります。

強い頭痛

一般的には頭の片側に生じ脈打つような痛み(拍動性頭痛)が特徴と言われていますが、両側のことも珍しくはありません。頭痛が出現している間は、なるべく暗く静かなところで休んでいたいと思うぐらいのつらい症状であることが多いです。

吐き気や嘔吐

頭痛がひどいときには吐き気や嘔吐の症状が現れることがあります。

閃輝暗点

頭痛が起こる際に、目の前がチカチカする、光が見える、視野が白っぽくなるなど視覚の異常が出現する場合があります。これを専門用語で閃輝暗点といいます。この症状があると片頭痛の可能性はかなり高くなります。

光や音に対する過敏さ

片頭痛が起こると、明るい光や大きな音に対して過敏になることがあります。光過敏、音過敏と呼ばれる症状です。

片頭痛の原因

片頭痛の正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、遺伝的要素や環境的要素が関与していると考えられています。1984年にMoskowitzが提唱した三叉神経血管説が現在のところ最も有力な説と考えられており、それに基づく薬剤(CGRP関連抗体製剤)も開発されています。また、ストレス、喫煙、飲酒、チーズやハムなどの特定の食べ物、睡眠不足などがトリガー(引き金)となって片頭痛が誘発されることもあります。

片頭痛の治療法

片頭痛の治療では、症状の軽減と発作の頻度、持続時間、強度の低下を目指します。治療法には以下のようなものがあります。

頭痛に対する治療

頭痛の内服薬としては非ステロイド性抗炎症薬(ロキソプロフェンナトリウム、アセトアミノフェン、ジクロフェナクなど)やトリプタン製剤(イミグラン、マクサルト、ゾーミックなど)が用いられます。トリプタン製剤は片頭痛専用の薬であり、頭痛の起こりはじめに飲めば高い効果が期待できますが、早すぎたり(前兆の段階)、遅すぎたり(頭痛のピークを迎えている)すると効果が期待できません。最近ではレイボーというより効果の高い薬剤も使用できるようになりました。こちらはあまり内服のタイミングによらず効果が期待できるのですが、その分ふらつきなどの副作用も強く、ある程度慣れる必要がある薬剤となっています。

生活習慣の改善

ストレス管理、適切な睡眠、禁煙、節酒、規則正しい食事など、生活習慣の改善も重要な治療法の一つです。

予防薬

一部の降圧剤や抗てんかん薬には片頭痛の予防効果が期待できるものもあります。また、前述した三叉神経血管説に基づくCGRP関連抗体製剤も開発されており、これらの薬剤は月に1回皮下注射をするだけで高い効果が期待出来ます。また、最近ではCGRP関連抗体製剤の内服薬も臨床試験中¹であり、注射が苦手な方や妊娠の可能性がある若年女性にとっては朗報と言えるかもしれません。

CGRP関連抗体製剤について

片頭痛に対していま一番注目されている治療法が、このCGRP関連抗体製剤の月1回皮下注射です。片頭痛と診断された場合、通常は約1ヶ月ごとに外来にて皮下注射(インフルエンザワクチンと同じようなものです)を行います。当院では最低3ヶ月、できれば半年間継続しての治療をお勧めしています。大きな副作用はあまりない印象ですが、まだ新しい薬剤ですので胎児への影響が確立しておらず、妊婦への投与は避けるべき²となっています。

この薬剤は投与後数ヶ月体内に残存しますので、妊娠に関しては計画的に、また事前に主治医とはよく相談した上で治療計画を立てるようにしてください。

CGRP関連抗体製剤の違いについて

現在CGRP関連抗体製剤は3種類が存在します。いずれも皮下注射をする必要があること、やや高額な治療費がかかること(3割負担で注射薬1本12000円前後)は共通しています。
また、その効果自体には大差無いというのが正直な印象です。
ここではそれぞれの違い(特徴)について述べたいと思います。

エムガルティ

初回は2本投与が必要なので、その分治療費が高額となる。しかし、その分即効性にもある程度期待できる。

アイモビーグ

他の2つはCGRPと結合することでその効果を発揮するのに比べ、アイモビークはCGRPの受容体に先回りして結合することでその効果を発揮する。作用する部分は微妙に違うので、他の2つの薬剤で効果がなかった場合にも試す価値あり。

アジョビ

1回で3本まとめ打ちすることが可能。毎月来院するのが厳しい方にはおすすめ。

 

  1. Pozo-Rosich P, et al. Atogepant for the preventive treatment of chronic migraine
    (PROGRESS): a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trial. Lancet.
    2023 Jul 26:S0140-6736(23)01049-8. doi: 10.1016/S0140-6736(23)01049-8
  2. Roberta Noseda, et al. Safety profile of erenumab, galcanezumab and fremanezumab in pregnancy and lactation: Analysis of the WHO pharmacovigilance database. an international journal of headache. 2021 06;41(7);789-798. doi: 10.1177/0333102420983292.
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