もの忘れ外来
物忘れを心配される患者さんがここ10年ほどですごく増えたことを、外来診療をやっていて感じるようになりました。
大抵の場合、ご自身の体験として「テレビに出てくる芸能人の名前がぱっと思い出せない」とか、「昨日の夕食の内容が思い出せない」といった、どちらかというと"加齢による単なる物忘れ"の訴えであることが多くあまり心配しないようお伝えするようにしています。
自分自身が物忘れを心配している場合、その約8割は認知症ではないというデータもあるくらいです。
ですが、やはりきちんと検査をしてみないとなかなか"加齢による単なる物忘れ"なのか、本当の認知症なのか、はたまたその中間の状態(軽度認知障害)なのかわからないことも事実です。
認知症の種類の詳細はコチラ(認知症専門サイト)
◆認知症の検査と原因
大阪府堺市にあるばば脳神経外科では、認知症を心配される方に対しては問診(できればご家族の方からの聴取も)や心理検査(長谷川式、MMSE、CDT、ADAS Jcog)、そして必要と判断した場合は頭部MRI検査を用いて総合的に判断します。
典型的なアルツハイマー型認知症であれば、これらの検査でほぼ診断は確定します。
そもそも認知症とは、「いろいろな原因によって認知機能が障害され日常生活に支障が出ている状態」を指す言葉です。そのため認知症は一つの病名ではなく、「状態」を指す言葉ですので、認知症の背景には様々な疾患があり、複数の原因によることも少なくありません。
認知症の原因となる疾患で代表的なものを挙げると下記のようになります。
神経変性
- アルツハイマー型認知症
- レビー小体型認知症
- 前頭側頭型認知症
- 大脳皮質基底核変性症
- し銀顆粒性認知症
- 進行性核上性麻痺
脳血管性
- 脳梗塞
- 脳出血
- くも膜下出血
- Binswanger病
- 遺伝性脳小血管病(CADASIL等)
- アミロイドアンギオパチー
炎症性
- 細菌性脳炎
- ウイルス性脳炎(日本脳炎、ヘルペス脳炎、エイズなど)
- クロイツフェルト・ヤコブ病
腫瘍性
外傷性
- 脳挫傷
- 慢性硬膜下血腫
正常圧水頭症
内科的疾患
- 甲状腺機能低下症
- 肝性脳症
- 腎不全
- 呼吸不全
- ビタミン欠乏症
- アルコール中毒
中には採血をしないとわからないものや、髄液検査(脳や脊髄の周りを満たしている髄液という液体を背中の真ん中に針を刺して採取します)をして初めて確定するようなものもあります。
◆認知症に対する正確な診断の重要性
認知症には種々の原因があり、それぞれ治療方針が違います。
数は少ないですが完全に治る認知症もあり、正確な診断が如何に大切かおわかり頂けるかと思います。
また、早期に発見できれば以後の進行を緩やかにすることで日常生活が維持できる期間を大幅に伸ばすことも可能となってきています。
当院(堺市のばば脳神経外科)は認知症診断に必要なほとんどの検査ができるクリニックです。
認知症の検査の詳細はコチラ(認知症専門サイト)
SPECTやPETという更に高度な検査が診断に必要となる場合も稀にありますが、その場合は提携医療機関にて検査を受けていただくことが可能です。
単なる物忘れなのか認知症なのか判断に迷われる場合や、家族や友人などに認知症の心配をされたことがある場合は(他人からの指摘は高確率で認知症であることが多いというデータもあります。)ぜひお気軽に当院までご相談いただければと思います。
本人が嫌がって受診を拒んでいるという場合は、ご家族の方のみでも相談を受けつけていますので、その場合もまずはご相談いただければと思います。