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てんかんの診断・治療

てんかんは特に珍しい病気ではありません。
最近の研究では、てんかんの患者さんは日本国内においておよそ1000人に6人とされています。
約160人に1人の割合ということになり、それほど珍しい病気では無いということになります。

てんかんと言えば急に手足をバタバタと動かして、その間本人は意識が無いといったけいれん発作を引き起こす病気と思われがちですが、急にぼーっとしてしまう、急に人の話している内容が理解できなくなる、急に変な匂いを感じる、急に左右いずれかの手足が痺れるなど、本人にとっても周りの人にとってもわかりにくい症状のてんかんもあります。
MRIなど画像検査をしても特に異常がないのにけいれんを起こすタイプは特発性(原因がよく分からないという意味です)てんかんと呼ばれています。
10代ぐらいまでに症状が出た場合はこのタイプのてんかんが多いです。
一方、外傷や出血で脳に傷がついたり、脳に腫瘍ができることで症状がでるタイプは症候性てんかんと呼ばれています。
これは外傷や脳出血、脳腫瘍など歳を重ねるほどその頻度は高くなりますので、若い人には少なく、お年寄りのほうが多いタイプのてんかんと言えます。

いずれのタイプのてんかんも、脳の異常な電気活動が起こることがそもそもの原因となります。
脳波を取るとわかるのですが、脳は日頃ほぼ一定の強さ、リズムで電気活動を行っています。
しかし、なんらかの原因で必要以上の電気活動が始まると、色々な症状を引き起こしてしまいます。
異常な電気活動の範囲が比較的狭い場合は、その部分の脳機能のみに異常をきたすので、ぼーっとする、変な匂いが感じるなどの限られた症状のみが現れます。
一方、脳全体に異常な電気活動が広がってしまうと、意識が無くなり全身をバタつかせてしまうような大きな発作として現れることになります。

てんかんの治療薬は現在20種類を超えるほど存在しています。
特にフィコンパ(ペランパネル水和物)やビムパット(ラコサミド)といった新しい治療薬は効果も高く、今までなかなか発作を抑えることが難しかった方にも有用です。
ただしいずれも薬価がかなり高く、毎日飲むことを考えると費用と効果のバランス感覚もてんかん治療においては大切な側面といえます。
当院では可能な限り従来からある比較的安価で副作用の少ない薬剤を使用し、効果が不十分であった場合のみ新薬を選択するようにしています。
また、1日1回の内服でいいタイプや1日2回以上内服する必要のあるタイプもあります。
患者さんによっては1日1回でないときちんと内服できないという方もいますので、飲みやすさという観点からも薬を選ぶ際は重要と考えています。
いずれにしても、てんかん治療においては決められた量をきちんと飲み忘れなく続けるということが極めて重要となります。
それが出来て初めて薬の効果判定ができ、量の調節も可能となります。

きちんと服薬量を決めることができ(症状や血中濃度を測定して判断します)、数年間発作が起こらないことが確認できれば令和6年現在、車の運転も一定の制限下で可能となっています。

てんかんを治療中の方で発作が出た場合の対応方法ですが、発作の症状が普段と同じで5分以内に収まった場合はあまり心配することはありません。
その日はなるべくゆっくり過ごして頂き、翌朝からは普段通りの生活で大丈夫です。
ですが、発作が5分以上経っても収まらない場合や、一旦収まったあと数時間以内に再び発作が始まったなどの場合は積極的に薬剤を用いて脳の興奮を鎮める処置が必要です。
発作が持続する状態をけいれん重積と呼びますが、この状態が続くと脳にダメージを与えることになり、できる限り早くに発作を止める必要があります。
場合によっては救急車を呼んでけいれん重積に対応できる救急医もしくは脳神経外科や神経内科の医師による治療が必要となります。

繰り返しになりますが、てんかんはきちんと内服を続ければその症状はかなり抑えることが可能となっています。
ですが、きちんと内服をしていてもやはり発作を起こしてしまう場合もあります。
そのような場合、すぐに対応できる医療機関で普段から治療を続けることが大切です。

てんかんの通院先でお困りの方がいれば、一度当院までご相談頂ければ幸いです。

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