前庭神経炎
前庭神経炎は、内耳の前庭神経に炎症が起こることで、めまい、ふらつき、吐き気などの症状を引き起こす疾患です。突然発症することが多く、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。前庭神経炎は、耳鼻咽喉科領域の他のめまいに比べてめまいの持続時間が長いことが特徴です。通常、耳から起こるめまいは1日以内~数日で治まることが多いですが、前庭神経炎では1週間以上、1日中回転性めまいや嘔気が持続します。ひどい回転性めまいが治まっても、軽いめまい感が数カ月続き、なかなかすっきりと治りません。
この際、聞こえの障害や耳鳴りはありません。大阪府堺市にあるばば脳神経外科の院長が前庭神経炎について解説します。
◆前庭神経炎の原因
前庭神経炎の直接的な原因は、まだ完全には解明されていません。ウイルス感染が最も有力な原因とされていますが、その他の要因も考えられています。
ウイルス感染: ヘルペスウイルスやサイトメガロウイルスなどのウイルス感染が、前庭神経炎の発症に関係していると考えられています。ウイルスが前庭神経に感染することで、炎症が起こり、神経の機能が障害されると推測されます。
細菌感染: 細菌感染が原因となる場合もありますが、ウイルス感染に比べて頻度は低いです。
免疫系の異常: 免疫系の異常によって、前庭神経が攻撃されて炎症が起こる可能性もあります。
血管の病気: 前庭神経への血流が不足することで、神経にダメージが蓄積し、炎症が起こる可能性も考えられています。
アレルギー: アレルギー反応によって、前庭神経に炎症が起こることがあります。
◆前庭神経炎の症状
前庭神経炎の最も特徴的な症状は、めまいです。めまいは、回転感覚、ふらつき、吐き気、嘔吐などを伴い、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。
めまい: 突然発症し、数時間から1週間以上続くことが多いです。回転感覚が強く、立ったり歩いたりするのが困難になることがあります。
ふらつき: めまいの症状が治まっても、数週間から数か月続くことがあります。
吐き気: めまいの症状に伴って、吐き気や嘔吐が起こることがあります。
◆前庭神経炎の診断
前庭神経炎の診断は、聴力検査や眼球運動検査などの検査を行うこともあります。
聴力検査: 音の聞こえ方を調べる検査で、前庭神経炎では、聴覚が正常であることが多いですが、一部の患者さんでは、聴力が低下している場合もあります。
眼球運動検査: フレンツェルめがねと呼ばれる特殊なメガネや赤外線CCDカメラで目の動きを観察する眼振検査(眼球の動きを観察する)を行います。前庭神経炎では頭の位置に関係なく、強い眼振が出現します。
平衡機能検査: めまいやふらつきの原因を調べる検査で、眼球運動や身体のバランスを調べます。
◆MRI検査で脳の疾患と鑑別
前庭神経炎によるめまいが脳の疾患によるものでないことを明らかにするためにMRI検査を行うこともあります。大阪府堺市にあるばば脳神経外科では、脳神経外科の専門医を持つ院長による適切な検査と迅速な診断を心がけております。