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認知症について

僕が医師になって脳神経外科を目指していたころは、まだ痴呆症という名前の方が世間では一般的でした。痴呆症とは、簡単に言えばボケてきた、ということです。当時は今ほど高齢化も進んでおらず、さほど社会問題化はしていませんでした。ボケるにはボケるのですが、がんや脳卒中、心臓発作などでほどなくお亡くなりになる方も多く、社会的にもそれほど困ってはいなかったのです。痴呆症という大変失礼な名前も、そういう理由で特段問題視されませんでした。しかし、現在は平均寿命が男性82歳、女性88歳程度となっています。高齢化が進む中でどんどん認知機能の低下してきた人が増加し、世間の注目を浴びるようになり“認知機能が低下する病気”なので省略して“認知症”という呼び名にしようという機運が高まりました。医療費増加の問題、認知症患者を社会でどのように看ていくのかという問題もあり、医療保険⇒介護保険への大きな変化を生み出すことにもなりました。介護保険では“身体的な能力”+“認知機能”の大きな二つの柱で日常生活レベルを判定します。

介護度のレベルを判断するためのおおよそ半分は、この認知機能にゆだねられており、介護認定の大きな判断材料となっています。認知機能というのは、高齢者の医療にとってそれほど大切なポイントなのです。また、最近では認知症患者の自動車事故も大きく取りざたされるようになり、75歳以上の方は免許更新の際認知機能検査が必須となりました。

このように、認知機能に関してしっかり対応できる医師や施設のニーズが高まっているにも関わらず、実際は非常に心もとないのが現状です。認知症外来の予約を取ると1か月以上待たされるということもよく耳にします。

 また、認知症の原因疾患にもよりますが、早くから手当てをすれば、回復させたり進行を遅らせたりすることが現在では可能となっています。しかし、外来に訪れる患者の約半数の方はすでにかなり症状が進んでおり、もう少し早めの受診は出来なかったのかと常日頃から思っています。これは、ひとえに我々医療従事者側からの情報提供が乏しかったり、診られる医師や施設が乏しかったりするのが原因とも考えられます。

特にアルツハイマー病の方は、その前段階の状態から来院いただいていれば、10年以上日常生活をしっかり維持できることも多いです。

 ガンもそうですが、認知症も早期発見、早期治療(認知症の場合は薬物療法だけではないです)が極めて大切です。このページにたどり着いた方というのは自身、もしくは周りの近しい方が認知症かも?と思っていらっしゃるはずです。是非、お気軽にご来院ください。20年近く認知症に携わってきた頭の専門家として、最新検査機器、最新の知見を基に適切に診断し適切な治療をご提案します。

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